微細加工機による小物・精密金型の高付加価値加工 機械技術 2011年1月号 掲載
近年、携帯電話をはじめ電化製品などの分野で軽量化、小型化が求められている。
それに応えるため、内部機構部品を金属素材から強化プラスチック素材に置き換える動きがある。
強化プラスチック素材を用いた射出成形は金型にかかる負担が大きく、金型寿命を延ばすためには従来よりも耐磨耗性に優れた素材を用いる必要がある。
超硬合金を金型材料に用いることができれば、プラスチック金型消耗パーツの大幅な高寿命化を達成することができる。従来、超硬合金の加工は放電加工の分野であったが、面粗さ、加工精度の向上を目指し、超硬合金への直彫り加工に挑戦した。
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MEGA-S400
微細加工においては工具が小径になるほど刃先剛性が弱くなる為、主軸の高速回転時に於ける工具のダイナミック振れ(振動)が精度、寿命、生産性に大きく影響する。微細加工を具現化する為に加工機械にもっとも求められる要素は、この条件を如何に押さえ、ダイナミック振れを最小限にする事である。
また、機械追従に求められる要素として、サブマイクロメートル追従、高精度位置決め、滑らか摺動、短距離の反復運動追従、高速回転での発熱対応等が要求され、φ0.1以下の工具での数マイクロメートル切り込みに確実に追従する機械が必要である。
『高精度高速小径微細加工機MEGA-S400』はこれらの要素を具現化した機械である。
高精度高速小径微細加工機「MEGA-S400」とその仕様 |
超硬合金への直彫り加工
金型パーツの中でも負担の大きい金型ピンゲートを想定し、超硬合金の加工を行った。ゲートには流動性を良くするために面粗さが求められる。また、成形バランスを考慮すると形状精度も必要となる。加工事例のポイントを以下に述べる。
![]() 加工形状 |
①cBNエンドミル
超硬合金はエンドミルの母材に使われるような高硬度材であるため、これを加工するための工具はcBNか、もしくはダイヤモンドを使用したものになる。
今回は各工具メーカが標準品を揃えているcBNエンドミルを用いて仕上げ加工を行った。
![]() 使用工具と加工時間 |
②出口部の品位
ゲート出口部のエッジは、ランナー切り離しの際に重要となる。放電加工の場合、穴のエッジに放電痕が残り鋭いエッジにならない。切削加工でもバリが発生しやすい箇所である。
今回の加工においては加工方法を工夫することで、出口側にバリ無く加工することができた。
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③加工面粗さ
加工面粗さを測定したところ、Ra47nmであった。
エンドミルの加工により放電加工では実現困難な面粗さを達成することができ、磨きレスを実現できる。
![]() 面粗さ測定 (ZYGO測定データ) |
従来は放電加工でしか加工できなかった超硬合金について、
直彫りにて加工を行うことができた。直彫りにすることで面粗さ、形状精度の向上が図れ、さらにはリードタイムの短縮もできる。
今回の結果より超硬合金の直彫り加工の可能性を確認することができた。今後はさらに、コストも含めた直彫り加工のメリットを追及していく所存である。
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