超精密微細加工機による微細・精密加工 機械技術 2009年6月号 掲載
今、ものづくり業が100年に1度の不況下にある。
しかしここに来て各社の生産調整よる在庫調整
が底を突き一部の生産体制に復活の兆しが出て来ている。この様な状況の中でもものづくりには終点は無く各社次なる復活を賭けて高付加価値な新製品を模索している。各製品が高精度、微細、小型化になっている流れに於いて高精度・微細加工に対する取り組みは次なる製品生産を目指し試作研究がなされている。
高精度・微細を代表する光学関連の部品も最近のエコを繁栄しLEDによる省エネ、高寿命化が進んでいる。
又、プラスチック製品に於ける樹脂金型は更なる微細高品位成型への移行を模索している。
この様なものづくりの動きの中で具現化できる機械として開発された製品が『超精密複合微細加工機VEGA‐600』である。
本稿では、『超精密複合微細加工機VEGA‐600』の特徴と微細加工実例を紹介する。 |
1. 機械概要
図1に機械概観を示す。本機械は、機械本体、制御盤、各種油温コントローラで構成されており、機械本体とそれ以外を切り離して配置する事で、機械本体へ及ぼす外部からの振動や発熱の影響を抑える構成としている。
本機械の主な特徴は、駆動3軸の案内面として『油静圧案内面』、駆動方式として『リニアモータ駆動』を採用している。本機械の主な機械仕様を表1に示す。 ![]() |
超精密複合加工機VEGA‐600仕様一覧(単位:mm)
| 移動量(X軸×Y軸×Z軸) | 410×330×200 |
|---|---|
| テーブル上面から主軸端面までの距離 | 50~250 |
| テーブルの最大積載質量 | 100kg |
| 主軸回転速度 | 3,000~60,000min-1 |
| 主軸電動機 | 1.3kW |
| 早送り速度 | 15,000mm/min |
| ツールシャンク形式 | HSK-E25 |
| 工具最大径 | φ6 |
| 工具収納本数 | 30本 |
| 電源容量 | 22kVA |
| 機械本体の大きさ | 2,750×3,100×2,500 |
| 機械質量 | 5,000㎏ |
2. 高精度を追求した機械構造
2.1 本体構造
低重心高剛性ヘッドとコラム一体クロスレールを採用した門形構造により安定した超精密加工を可能にしている。リニアモータの吸着力の影響による変形の抑制は、主軸頭、テーブル、クロスレールの剛性をコンピュータ解析(CAE)し、軽量化と剛性の向上を図ることで対応している。
2.2 油静圧案内面とリニアモータ駆動
スムーズな動きを追求するため、油静圧案内面とリニアモータ駆動を採用している。この制御システムには、油膜の剛性が高い『流量可変油静圧絞り方式案内面』を採用した。外力による荷重が加わり、油膜を薄くさせようとすると瞬時に流量を増加させて、変位を極少にするように応答し、制御することができる高剛性なシステムである。本機械におけるX軸方向の水平面内及び垂直面内の真直度精度は、それぞれ1.07μm/410mm、0.46μm/410mmを達成した。
本機が如何に高精度に追従するかを実験及び精度確認した物が「図2.油静圧ガイド試験」である。テーブル重量に対しわずか1/1000の送り方向荷重で摺動することができることにより、スライドの真直度1μmが実現した。これは、コロガリガイドに比べ1/100の荷重で動く事ができたことになる。
リニアモータ駆動の仕様は、剛性の高いコア付リニアモータを採用しており、マグネットを対向式に配置する事で、吸着力を相殺している。また、コギングの軽減及び発熱源であるコイルの強制冷却を施し、加工のトータル精度向上を目指している。冷却油の油温変動に対しては、変位を最小に抑える為に、油温を±0.1℃で制御可能なオイルコントローラを採用している。
本機械における真円切削結果を図3に示す。Φ11の内円加工を実施した際の高速真円切削性能を示している。
極小径での高速真円切削において、真円度0.61μmを達成しており、スムーズで、且つ高追従性を実証するデータである。この機械追従性により、3D加工における微細点郡の反復動作をより俊敏に動作させ、微細な形状加工を可能としている。 ![]() ![]() |
2.3 高精度位置決め
フルクローズド・ループ方式によりサーボモータへ高分解能な電流・速度・位置指令をフィードバックして高追従性を実現した。また、NC指令値に対する実移動距離の絶対照合化により高精度安定位置決め性能を保証している。
小さな目盛周期と高水準の分解能0.002μm(2nm)のスケールフィードバックにより、高い繰り返し精度を実現している。
リニアモータ及び油静圧ガイド採用により微細移動の追従も従来機よりも俊敏になった。
微細移動の追従を「図4.駆動軸追従表」にその効果を記載した。 ![]() |
2.4 複合微細加工機のヘッド(高速主軸ユニットとサブ主軸)
「図5.複合搭載主軸ヘッド」を示す。主軸は、セラミック玉軸受けと特殊オイルミスト潤滑方式により、極小径エンドミル加工で威力を発揮する毎分6万回転までの連続高速運転加工を可能にした。
また、安定した動的振れをで、かつ高速回転においてホルダのクランプ力が増す二面拘束(HSK-E25)を採用している。
又高速主軸に於ける発熱対応としてH・I・S制御(熱分離システム)とあいまってXY軸方向の熱変位を極少にしている。
ツールは30本の工具マガジンが標準で微細工具のダメージの無いスムーズなツインアーム方式ATCを装備している。図6にてATC後の工具振れ、高さの繰り返し試験結果を示す。全て1μm以内の繰り返し結果となっていたことがわかる。
微細加工に於ける複合加工機としてメイン主軸の他に複合ヘッドを付加した。
用意された複合ヘッド(0.0001度制御C軸・・・オプション)を採用する事で軸同期によるヘール加工や高付加価値ユニットによる微細複合加工の可能性を広げている。 ![]() ![]() |
2.5 H・I・S制御(熱分離システム)
機械の基本精度を加工精度に反映させる為、Heat Isolation System(熱分離システム)の頭文字をとったH・I・Sという総合的な熱分離対策を施している。主軸における熱変位対策として高精度オイルコントローラを設け、±0.1℃単位で冷却制御を行っている。冷却回路にはPID可変ガスバイパス方式を採用し、熱交換液を強制潤滑させることで安定制御している。主軸ハウジングにも熱交換オイルを循環させる2層ジャケットを採用しており、ハウジング、サドルへの伝熱対策としている。また、制御盤を機械本体と切り離して設置することで、熱影響を軽減している。 |
3. 加工事例
3.1 ヘール加工実例
図7の加工実例は、『無酸素銅への高面粗度ヘール加工』の実例である。
単結晶ダイヤバイトを用いて10m/minの送りにて表面粗さRa0.0082μm(Ra8.2nm)を達成している。
油静圧ガイドとリニアモータ駆動による軸移動時の真直精度の高速追従を実現した加工である。
3.2 直彫り加工実例
図8の加工実例は『高硬度金型直彫り加工』の実例である。
高硬度鋼(HAP10 64HRC)へCBNボールエンドミルにてのファン形状加工(3D)を行い微少点群の高速追従と高精度面品位が実現できた。 |
4. 高精度化を維持する条件
VEGA-600は、高精度・微細加工を安定して行うことができる精密加工機であるが、微細加工を長時間・高精度に維持するには微細加工機・ツール・CAD/CAM・環境の四位一体が必要条件である。 ![]() ![]() |
加工条件
| 主要工程 | 使用工具 | 送り速度 mm/min | 回転数 min-1 |
|---|---|---|---|
| 荒加工 | Φ3.0R2.0ラジアスエンドミル(超硬エンドミル) | 700 | 7000 |
| 荒加工 | R1.0ボールエンドミル(超硬エンドミル) | 2000 | 20000 |
| 仕上げ | Φ3.0R2.0ラジアスエンドミル(超硬エンドミル) | 700 | 10000 |
| 中仕上げ加工 | R0.5ボールエンドミル(CBN) | 1000 | 50000 |
| 中仕上げ加工 | R0.3ボールエンドミル(CBN) | 800 | 50000 |
| 仕上げ加工 | R0.5ボールエンドミル(CBN) | 500 | 50000 |
| 仕上げ加工 | R0.3ボールエンドミル(CBN) | 500 | 50000 |









